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- Date:2025年05月23日
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更新完全停止(廃棄物) 見ていただきありがとうございました。
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小さい頃から憧れていた。
自分にもこんな兄が居たらいいのにって何度も思っていた。
何時からだろう憧れと信頼の形が変わったのは…。
秘めた想い
「安心していいよ。呼吸も安定しているし、恐らく薬が効いてきたんじゃないかな」
リビングで待っていたオレは悟飯さんの言葉で詰めていた息を一気に吐き出した。
「悟天の奴、いきなり気を失うんだもん。焦るっつの!!」
愚痴を零すオレに悟飯さんは笑いながら「迷惑かけたね」と言った。
「しかし、すっごく慌てた声で訪ねて来たときは流石に驚いたな」
あの時はホントに焦った。
打ち所が悪かったのではと思ってフルスピードで悟天の家に突っ込んでしまった。
「スイマセン…」
オレは謝りながら、今は暢気に寝ているであろう幼なじみがいる方向を小さく睨む。
「いや、でも、ボクがいて良かったよ」
今日はお父さんとお母さんは出掛けてたからね。まぁお父さんの場合はいつもいないのだけれども…。
(知ってるよ)
暢気に語る悟飯さんを見ながら心の中で呟いた。
だから、未だに悟天を心配するかのようにして、ここから動かず入れてくれたカフェオレを飲んでる。
悟飯さんは見た感じだとブラックコーヒーかな…。
「そうだね。悟飯さんが居なかったらオレどうしてただろ」
無事だとわかったんだからもう用事はない。
その瞬間からオレの目的は変わっていた。
いかにこのまま悟飯さんと過ごせるか…だ。
「まぁ、トランクス君はしっかりしてるからちゃんと対処してただろうね」
信頼を得た答えに嬉しくなる。
認めてもらうためなら努力を惜しまない。
「うん。オレ、ガンバルよ!」
意気込むオレに懐かしむような優しい笑みを浮かべた。
「しばらく見ないうちに大きくなったね」
「え…」
最後に会ったのは何時だっけ?
っと悟飯さんは独り言のように呟く。
その見る瞳でわかってしまった誰とオレを重ねているか…。
「オレ、そんなに未来の兄ちゃんに似てますか?」
オレの中では繋がっている話だったが、悟飯さんには唐突過ぎて付いて来れなかったらしく目をパシパシさせる。
「うん? 似てるも何も遺伝子は同じだからね。中身はともかく、外見はそっくりだよ」
『中身はともかく』か…。
救われるはずのその言葉が今は胸を締め付けられる。
「育った環境に寄って違うのは当たり前だよ」
知っている。
同じ遺伝子を持つ双子でさえ姉と妹などの少しの違いから大きく食い違っていく。
「ボクもどう頑張ったって未来の彼にはなれないからね」
悟飯さんの呟きにハッとする。顔を上げたときに目が会う。
優しそうに哀しそうに微笑むその笑みはオレの全体を包み込む。
そうか悟飯さんも同じ思いを抱えているんだ。生きて来た環境が違うのだから気にする必要はない。
「でも、オレは悟飯さんのこと尊敬してるよ!」
好きだとは言えないけどこれも事実だから必死になった。
悟飯さんは一瞬だけ目を見開いたが嬉しそうに御礼を言って頭を撫でてくれた。
「ありがとう」
撫でてくれるのは恥ずかしくて嬉しくて、そして哀しかった。
似ていない。
重ならない。
ってことは…
イコール…
振り向いてもらえないと言うことだから…。
END