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- Date:2025年05月23日
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更新完全停止(廃棄物) 見ていただきありがとうございました。
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僕はずっと一人だった。
母親は生むだけ産んで育児放棄。
嫌みのように父親の家の玄関に棄てた。
だから僕は母親の顔も性格も何もかも知らない。
父も数多くのうちの一人だったらしくさっぱりわからないと言い切った。
そして、僕は父の気まぐれで生かされて育てられている。
「お前があまりにも俺に似てたからな」っと良く言われた。
まぁそのお陰で少なくとも衣食住は確保されている。
それ以外は放置に等しかったが…。
僕を世話してくれたのは入れ代わり立ち代わりに来る様々な女だった。
僕は父親には何も期待していない。
それよりも来る女に如何に可愛いと思ってもらうかを考える毎日。
反抗するよりそうした方が何事にも効率がいいことを学んだ。
そんなある日。
僕は独りじゃなくなる日がきた。
「誰?」
「お前二号、順番的にはお前が二号か」
あいつはそういい棄てて出ていった。
あいつが出て行くのは日常茶飯事だから(あーぁ、あいつはこんな時でも変わらないのか)そう思った。
一号と言われたそいつを見れば少し怯えたような感じであいつが出ていった扉を見詰めていた。
それがとても不安そうで何とも不思議な気持ちになる。
「ねぇ、名前ぐらい名乗ったら? あいつは何時もあんな感じだしね」
そう責っ付くとはっと我に返ってにこりと笑って自己紹介してくれた。
「超一だよ。よろしくね」
その時、僕の中で何かが生まれた。
「うん…」
その後、生い立ちとこっちにきた理由を知った。
「お母さんは未婚で僕を産んで今まで育ててきたんだけど、結婚するときに僕が邪魔だから…」
一緒に居ても良いって言ってくれたけど…母にとって僕は忘れたい過去に関わるから僕がいれば幸せになれない。
「だから僕はここにきたんだ」
「そんなのおかしくない?」
息子をほって自分だけ幸せになるなんて最低だよ。
「でも、僕はお母さんが大好きだから幸せになってほしいんだ」
例えその中に僕がいなくても…。
「イチィ…」
聞いているうちにあいつは一の存在を知っていて僕を育てたんじゃないかって思えた。
だから僕の名前が二なんだ。
「これからは僕が一緒だよ」
「ニィ…?」
仕組まれたことかもしれない。
でも僕は一がいるからここに存在すると思えることが今までの中で一番嬉しかった。
「イチ…チィの幸福は僕が作る!」
「うん。僕もニィの幸福を護るね」
親なんて関係ない。
僕等は僕等だけが居れば良い。
幸福が見当たらないなら一から作ろう。
もう寂しくない。
僕等は独りじゃなくなったんだから…。
END