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- Date:2025年05月23日
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更新完全停止(廃棄物) 見ていただきありがとうございました。
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オレいやボクは自他共に認める甘え上手だ。
クラスの子からも両親からもお兄ちゃんからも甘やかされる。
玩具とかお金がかかるのは無理だけどお菓子とかは何も言わなくてもくれる。
それにボクが甘えたいときに甘えられる。
なるべく優先に予定に入れてくれるんだ。
玩具だってトランクス君の家にいけば遊ばしてくれるから、全然不満はない。
でも、誰かが言ってた。
本当に欲しいものは絶対に手に入らないんだって…。
最近そのことは良くわかる。
秘めた想い
ふあふあと揺れている。
暖かい陽射しに重なり合う背中。
これは昔良く迷子になったときにいちゃんがぐずつくボクを慰めながら家に帰るまでによくしてくれてた出来事。
そんな事を思い出したらクスクスと笑いが込み上げて来た。
「ごーてーんー?」
トランクス君の呼び声で中を漂っていた意識が身体に戻る。
「トランクス君?」
現状が把握できない一体どうしたんだっけ?
わかるのはトランクス君がボクを背負ってふあふあと空を飛んでどこかに向かっているってこと。
「まだ、頭痛むか?」
トランクス君には珍しく労りの声色で聞くもんだから思わず。
「トランクス君こそ頭どうしちゃったの!?」
って言ってしまった。案の定カチンときたんだろう飛ぶスピードの上昇とボクの足に回している手に力が加わる。
「たく、オマエがいきなり学校の屋上から落ちて気を失ったんだろーが!」
「あっ…そっか、ゴメン」
そうか、あの時本当に落ちちゃったのか。
「何やってんだよ悟天は…」
「うぅ、屋上で寝てたから寝ぼけてたかも…」
「なんだよーそれ」
トランクス君が呆れた声を出すのにてへへと可愛く笑ってごまかした。
ホントは寝ぼけてなんかない。
見ちゃったから…。
運動場で楽しく遊んでいるトランクス君を見てて急に寂しくなった。
一年がこんなに差があるなんて考えられなかったのに…。
『今、ここから落ちたら心配して駆け付けてくれるかな?』
ってそんな事考えてたら、持っていたフェンスに力が篭って実行しちゃってたんだ。
「悟天ならあんな高さ何ともないだろうけど、大騒ぎだぜ」
フェンスが老朽化して子どもが一人落ちたてんで、回りがかなり心配してた。
そんなんをごまかすの大変だったんだからな! 今度から気をつけろよ。
「はーい…ねぇ、トランクス君も心配した?」
説教になりそうになったから、肩に回している腕に少しだけ力を入れて遮った。
「するに決まってんだろ!」
トランクス君のその言葉に拗ねていた顔を上げる。
「トランクス君!」
「オマエの頭がこれ以上悪くならないか心配でたまらないぜ」
あっでもこれ以上悪くなるのは無理か逆に頭良くなったりはしないかな?
「な!? トランクス君ひどーい」
笑い声と共に言われた言葉にポカポカとトランクス君の頭を叩く。
きっと大丈夫だからこんな冗談が言えるんだ。
トランクス君って優しいもん。
「つーか、ホントに反省してんのかよ」
「してるしてる」
軽い返事はいつものこと、「オマエ絶対してないだろ~」って、言われるから「ホントにしてるよ~」と返す。
この何気ない会話がどんなに嬉しいかトランクス君は知らないだろう。
その幸せが壊れるのは決まって自分の家に近づいて来たときだ。
「あれ、今日は悟飯さん家にいるんだ」
最近忙しくて中々家に帰れないって言ってたのに…。
「研究が一段落ついたんだって、昨日電話で言ってた」
「そっかぁ」
そっけない口調だけど興味の対象がボクからにいちゃんに移ったのがわかった。
きっと、ボクを送るって言ったのも家ににいちゃんがいるからじゃないかって疑いたくなるくらいトランクス君の表情は変わる。
(酷いや、酷いや)
回した腕に更に力を加える。
「悟天ちょま、流石に苦しい」
今はまだボクを見てよ…トランクス君…。
大好きなにいちゃんとトランクス君。
今でも協力することも応援することも出来ない。
それににいちゃんは……。
「トランクス君、ボクじゃダメかな?」
「なーにわけのわからないこと言ってんだ?」
やっぱり、ボクはどう頑張ったってにいちゃんにはなれないよね。
ボクはボクだもん。
やっぱそれじゃダメかな?
「おーい? 悟天?」
遠くの方でトランクス君の声が聞こえる。
End